貫通ポアが一方向に揃ったポーラス材料の応用

材 料をポーラス化すると,比重が小さくなり,衝撃吸収能を持つようになります.ポアが貫通孔であれば,比表面積が大きくなり,表面を利用したさまざまな機能 (高い熱交換能,高い表面反応速度,吸音能など) を利用できるようになります.さらに,貫通ポアが一方向に揃うと,ポアが揃った向きには比強度や比輸送係数が低下しないという特徴をもつようになります. 私たちは,一方向に向きの揃った貫通ポアをもつ「ロータス型ポーラス材料」(大阪大学産業科学研究所中嶋英雄教授のグループにて開発,現在,ロータスアロイ(株) にて研究開発を継続中) を様々な方面に応用したいと考えています.


金属などの材料中のガス溶解度の温度依存性

さまざまな材料において,凝固時にガス (水素,窒素など) の溶解度は不連続に低下します.





作製原理

上図のような凝固時の不連続なガス溶解度の低下を利用します.すなわち,凝固時に 溶解度の低下により溶けきれなくなったガスは,ポアになります.材料の結晶化とガスのポアの生成 (固相と気相の同時生成) を利用して材料をポーラス化します.凝固方向を制御するとポアの伸張方向が制御されます.





作製方法

棒状のポーラス材料を作るには,棒状試料を一方向凝固させます.左図は帯溶融法を利用する場合です.この方法を利用すると,下図のように,棒の長手方向に ポアが伸びた材料を作製することができます.また,連続鋳造法や,ガス雰囲気を要さない熱分解法なども報告されています.













参考文献

1. H. Nakajima, Fabrication, properties, and applications of porous metals with directional pores, Proc. Jpn. Acad. Ser., 86B (2010), 864. (レビュー)
2. T. Ikeda, T. Aoki, H. Nakajima, Fabrication of lotus-type porous stainless steel by continuous zone melting technique and mechanical property, Metall. Mater. Trans., 36A (2005), 77. (帯溶融法)


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